映画鑑賞メモ

ネタバレを含んでいますのでご注意ください

アイリッシュマン ( The Irishman )

恐ろしく長かった...。 

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 労働組合ジミー・ホッファーが突然失踪したという実際のミステリーを題材として当時を駆け足で走り抜けていく。

 組合とマフィアの関係性がわかるようなわからないような...などと思いながら、とにかく見続けた。

 だいぶ見たのかなとカウンターをみたらまだ30分しか経っておらず心が折れそうになったり、これ1本見てる間にドラマ3本は見られるなぁなどとなかなか映画に入り込むことができなかったのだが、ここで挫折したらもう二度とこれを見ようなんて勇気はおこるまいと自分に言い聞かせ、ひたすら見続けた。

 フランクとジミーの関係が描かれだしてから、ようやくあの世界にアクセスする手がかりを得た感じで、そこからはグッと引き込まれてみることができた。

 波乱万丈の人生を俯瞰するような感覚。

 人生振り返ってみればあっという間だったという感覚をだしたかったのかな?

 恐ろしいマフィアだろうが必ず老いる。

 人間は皆老いる。

 遠い追憶の中にだけ残る時代の空気。

 ジミーもマフィアの抗争もケネディもニクソンももう遠い遠い昔のことだ。

 駆け引きも裏切りもなにもかも。

 懐かしむというのとも違う。

 今はもう無いかつて確かにあった何か。

 いつか老いたとき誰もが味合う感覚なのだろうか。

 時代を共有できるものがこの世をさっていくほどにその"時代”の"確かさ"は薄れていく。

 薄れていくがその”時”は確かにあった。

 それを完全に消えてしまう前にどうにか掴みとろうとするようなそんな感覚。

 

 それにしてもヒットマンとして結構な年になっても仕事を受けるフランク。

 黙々と淡々と。

 途中から若い者にやらせなよーとか思ったりしたけれど、あうんで話が通じるし、ましてや"殺し”なんて確実に信頼できるフランクに発注したい気持ちもわからないこともまぁないけれど。

 ヒットマンに労働組合ないしな...。

 

 フランクは最後までジョーの味方でいるのかと思ったけれど。

 ”やることはやった”、"時間切れ”、そのことの残酷さというかなんというか。

 どこかの瞬間で完全に指の間からすり抜けてしまったような喪失感。なんとかしたくてたまらないのにもう何もできないことが確定してしまった無力感。

 ただただ苦い。世界が急速に色あせていくような。二度と同じ輝きも幸福感も取り戻すことはできないと確定した瞬間。 

 

 見終わったあとは”ああ”っと深いため息をついてしまった。

 夜遅い時に見ていたので、こんな凹んだ気持ちのまま寝られねーよと思っていたら30分ほどの座談会があってそれがすごく面白かった。

 寒々と人生の終幕をみせつけられたあとに、まだまだとんでもなく元気で意欲的でワルっぽい爺ちゃんが映画や芝居について熱く語ってるのが嬉しくて元気もらった。

 「映画を撮るたびに新しい何かを学ぶ」って言ってたスコセッシ監督。

 視聴者の映画を観る場所の変化や最新技術などどんどん熱心に吸収していってすごいパワフルだなって。監督にとって映画作りがまだまだ楽しくて謎でしょうがないらしい感じがいいなって思った。 振り返れば人生はあっという間なのかもしれないけれど、でもずっと貪欲でいられるのってかっこいいなって思った。貪欲でいつ続けるのは当人にとって全然楽なことではないのもわかっているけれど。

 「若い奴使うと説明しないといけないから面倒くさくて」ってなんだか思い切りウケてしまった。説明する時間がもったいないっていうのもわかるし、まだまだ自分は映画をつくるのがうまくなれるしうまくなりたいって思ってるってことかなって思うと監督のことがとんでもなく好きになってしまった。

 ええ、なんだかイメージ変わりましたよスコセッシ監督!

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 96%

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