映画鑑賞メモ

ネタバレを含んでいますのでご注意ください

MUD マッド ( Mud )

ピュアを裏切らない物語。

  14歳の少年エリスと親友のネックボーンは中洲の森で木の上に引っかかったボートを見つけ、そこでマッドという奇妙な男に出会う。

 

程なくエリスとネックボーンはマッドが指名手配犯であることを知るが、マッドから愛する女性を傷つけた男を殺したことを打ち明けられ、マッドは決して悪人ではないと信じたエリスとネックボーンは、ボートを修復して彼女とメキシコに逃れるつもりだというマッドの計画を手伝うことにする。

 

 少年から大人の男への第1歩を現実に背中をポンと突き飛ばされるようにしてよろめくようにして踏み出した瞬間。

 キラキラ輝くピュアで美しいものと、そんなものは夢物語の中にしか存在しないと背中を向けてしまうそんな境界線で揺れるエリスの心を丁寧に追いかけた作品だったと思う。

 マッドはエリスの視点では大人でありながらキラキラしたピュアものの中に属する存在で、両親が離婚するかもしれない厳しい現実の中でエリスが価値あるものと信じ、どうしても守りたいと思うものの象徴だった。

 マッドはおまじないを信じ、エリスが育ったこの地を愛し、この地で出会った美しい女の子に恋をして、その美しいものを守るために全てを投げ出し、現実に抵抗している。

 マッドには両親はいないが偶然にもエリスの向かいのボートハウスに住むトムが育ての親で、マッドの言葉を借りれば元ClAの世界を股にかけて活躍した暗殺者。少年の耳にはさぞかしスリリングでかっこよく聞こえたに違いない。同じようにボートハウスで魚をとって生計を立てている父親への憧憬をエリスはトムとマッドの関係に重ね合わせたのではないかと思う。
 エリスが新しい生活を踏み出した時、エリスもあの森の木の上に絡め取られていたボートに乗って広がる世界に出て行こうとしていたマッドの姿を見ていたかもしれない。
 2人がこの先どうなるのか誰にもわからないが、エリスがあの時信じた大切ものやキラキラしたものは穢されることも壊されることなくマッドとして生き延びる。時に見失うことはあってもエリスの心から失われることはないはずだ。

 見終わった後、とっても清々しい気持ちになれた満足の一品。それにしても男の人ってつくづくロマンチストだなぁと思う。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 97%

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