映画鑑賞メモ

ネタバレを含んでいますのでご注意ください

We've Forgotten More Than We Ever Knew

 どうやら終末を迎えたらしい世界。 森の中を男と女がどこかにあるはずの"家”を目指して旅をしている。そこには自分たち以外の誰かが暮らしていて、水や食べ物に不自由することなく、安全で清潔なベッドで寝られる生活を送ることができる。訪ねていけば自分たちのことも暖かく迎えてくれるはずだ。そのことが過酷なサバイバル生活を生き延びる二人の唯一の心の拠り所だった。

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ところがその"家”は男が女を励ますための作り話にすぎず、実際は他の人間がこの世界に存在するかどうか男も知らず、自分たちがどこにいるかもわからないので地図も役にたたなかった。

 そんな時、二人の前に巨大な二棟のビルが出現する。中に入ってみると、そこはもともとホテルのようだった。二人はしばらくそこで生活してみることにする。

 

 不思議な物語だ。不思議というか、もとより根拠も謎の答えも設定されていない。見終わったあと、わかったような、わからないような...と頭の中で反芻せざるをえないつくりになっている。

 男と女には名前もない。身の上も、どうして一緒に旅をするようになったのかも、いつからどのような事情で旅するようになったのかも不明なままだ。他に登場するのは廃虚となったホテルのプールの底でマネキンのように横たわっていた男のみ。ぴくりとも動かないが死体ではない。ポーズを取らせたら、マネキンのようにそのままのポーズでずっといる。だったらマネキンか、ちょっと未来の世界っぽくもあるのでロボットとかそんな感じの存在かなとも思うけど、ちゃんと息をしている。やっぱり人間っぽい。

 男も女もお互い秘密でこの男の元を訪れては話をする。男はこのホテルで何があったかを聞きたがり、女は男についての不満をもらす。

 どうやら女の気持ちは男からどんどん離れていっているようだ。男もなんとなくそれに気がついている。でもどう取り繕えばいいのかよくわからない。

 二人はもうありもしない"家”を探すことをやめ、このホテルに住むことをにする。水も食べ物もある。電気もついた。生きるのになんの不自由もない。1日を、男はもっぱらホテルの物置でみつけたオープンリールのテープを聴いてすごす。女は次第に化粧やファッション、ビリヤードのことを思い出したり、空き部屋の壁に絵を描いたりしながら日々をすごす。

 やがて女は男よりもマネキンのような男に心ひかれていき、男のことを疎んじるようになる。二人の関係に完全に亀裂がはいったように見えたとき、マネキンのようだった男が息を吹き返したように動き出し、女にドレスをプレゼントし、ダンスに誘う。

 最終的に男と女の二人はホテルを後にする。再び森の中を彷徨う生活に戻る。結局のところ、この世界にいるのはお互いだけだ。

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 男女関係のメタファーになっているような、結婚生活についてのメタファーのような。

 

 マネキンのような男を演じるのが、ダグ・ジョーンズという俳優さんなのだけど、この人のイキモノで無い感がすごい。あまりの動かさなっぷりにコベント・ガーデンとかで見かける動かないパフォーマンスをする人か、コンテンポラリー・ダンス畑の人をひっぱってきたのかと思いました。男を演じるのがアーロン・スタンフォード。終末後の世界を彷徨う姿は、12モンキーズのジェイムズ・コールにしか見えないのはご愛嬌。

私の好み度:⭐️⭐️⭐️⭐️/5