映画鑑賞メモ

ネタバレを含んでいますのでご注意ください

ダラス・バイヤーズクラブ (Dallas Buyers Club)

予備知識ゼロで見たので、あのポスターからは想像もつかなかったハードパンチャーな内容にボコ殴りにされた気分。

 

 

  不摂生な生活をしまくっていたロンはエイズで余命30日を宣告されてしまう。図書館で猛勉強したロンは新薬AZTの臨床試験のことを知り、病院のクリーナーを買収し、こっそり分けてもらうが、管理が厳しくなり入手は無理と、代わりにメキシコにいる知り合いの医師を紹介する。そこでロンはATZが劇薬であることを学び、副作用が少なく対処療法に即した薬を処方してもらう。問題はそれらの薬がアメリカで認可されていないことだ。

 薬と法律、差別問題に、社会倫理や個人の権利。生きるとはどういうことかを深く考えさせられた。当初ロンは単なるロクデナシだったのに、エイズや法律に負けずにサバイバルするため全身全霊で闘い、当人に自覚のないままにそれがものすごい人助けになっていたという、すごい話だ。

 法律と現実の正義は時に大きく食い違う。その矛盾や問題点も物凄くわかりやすく描かれていた映画だった。ただ病気で死ななないためにより確実に効果のある治療法を選択し、それを自分だけでなく大勢の同じ病に苦しんでいる人たちに得た知識や方法をシェアする。それが法に触れており、そのために法的機関を相手に病身に鞭打ちまくって闘わないといけない。法の重要性も理解できるがこの矛盾を埋める努力を怠ることは決して許されないし、許してはいけないのだということが見えてくる。

 差別についてもとてもわかりやすく描かれている。病気になった途端友人は離れていき、社会的抹殺されたも同然の立場に追い込まれるロン。そのロンも当初同性愛者に対する偏見に凝り固まっていたけれども、レイヨンとの関わり合いによって、彼は同性愛者のレイヨンのプライドを守るために握手を拒んだ元友人に激昂するなど、いつのまにかレイヨンにとってかけがえのない理解者であり真の友達という存在になっていた。二人がぎこちなくハグし合うシーンは本当に胸にくる。

 究極の状態に追い込まれた時にこそ人の本質が露わになるというのなら、自分は彼らのサイドに立てるだろうかと考えてしまう。その勇気を自然に持てる人間でありたいと願ってはいるものの、きっと簡単なことではない。だからこそロンの行動に余計に感動するのだと思う。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 93%

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