映画鑑賞メモ

ネタバレを含んでいますのでご注意ください

パディントン (Paddington)

 ペルーのジャングルを訪れたイギリスの探検家はクマと出会い、すっかりと意気投合し、仲良くなった。探検家はロンドンにくる機会があればいつでも歓迎すると世話になったクマのカップルに言い残し、イギリスに帰っていった。

パディントン(字幕版)

パディントン(字幕版)

 

 

   40年後、クマのパストゥーゾとルーシーはいつかロンドンを訪れることを夢みながら、幼い甥っ子と共に平和で幸せな生活を送っていた。ところが大地震により家は倒壊。家の倒壊に巻き込まれパストゥーゾは絶命する。すっかり消沈したルーシーは老人ホームに入ることにするが、探検家を訪ねていけばきっと力になってくれると小熊をロンドンへ向かわせる。

 密航してロンドンに到着した小熊。しかし、ロンドンはおじさんやおばさんから繰り返しきかされていたような優しい街ではなく戸惑うばかり。途方に暮れてパディントン駅のホームで座り込んでいた小熊はそこで偶然通りかかったブラウン一家と出会い、ブラウン夫人により”パディントン”という英語名をつけてもらう。

 幸せな生活が地震で一変。大好きな家や愛する人を一夜にして失ってしまう。こんなオープニングとは夢にも思っていなかったので、ここでこのクマファミリーに完全に感情移入してしまい、早くも泣いてしまった。

 くまのパディントンはキャラクターとしては知っていたが、本は読んだことは一度もなかったので、彼に関する知識は皆無だった。

 ロンドンに憧れていた老夫婦に礼儀正しく育てられ、わんぱくだけれどもとてもいい子のパディントン。すでに両親を失っているところに、大好きなおじさんとの死別、ルーシーおばさんとの別れ、故郷からの離脱。不安だろうにこの小熊はけなげにがんばる。このけなげさにやられる。なんとか無事に新しい土地に馴染んで欲しくて、幸せになってもらいたくてはらはらさせられる。もはや子を見守る親の心境だ。

 ”わー、かわいい”と癒されたいぐらいの軽い気持ちでみはじめたらとんでもなかった。イギリス流自虐ギャグがそこここにちりばめられていて色々なことに思いを馳せてしまう。

 ”Very British Problem"という”イギリス人ってこういうところがあるよねー”イギリス人あるあるを自虐的に笑い飛ばす番組があるのだが、小熊が遭遇するトラブルや周囲の反応がいちいちイギリス人あるあるで、見ているこちら側としては面白くて笑っていても常にどこかひやひやした気分がつきまとう。

 それでも彼らの中にはこうあって欲しい理想のロンドンという姿があり、どんな紆余曲折があっても、その部分は失わずにいたい、いやいてやろうじゃないかという歴然とした強さも感じる。つよくたくましくしたたかにロンドンはいろんなものを呑み込んでいまある姿になったという矜持を感じた。

 いたいけ小熊があちこちでトラブルを起こし、ようやく居場所を見つけるお話のそこここで『がんばれがんばれ』と涙しながら拳握りしめてエールを送りながら、イギリスってやっぱすげぇ面白いと、ちょっと原作も気になってきた一品。

 

私の好み度: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️/5

🍅: 97%

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